[双極症, 双極性障害Ⅱ型, 気分の波, 精神疾患, 大学生活]


title: “調子がいいとき”が、いちばん危ない日だった
categories: [闘病記, 精神障害]

“調子がいいとき”が、いちばん危ない日だった


浮かれていた、あの春の日

高校時代、私は目立たない、どちらかというと大人しい男子学生だった。
男子校という環境で、恋愛とも無縁で、真面目に勉強してきた。

そして大学受験に成功。
有名私立大学の理系学部に合格したとき、私は「世界が変わった」と思った。

初めての一人暮らし。
誰に干渉されることもない生活。
サークルの新歓であちこちに顔を出し、華やかな大学生活を楽しんだ。

まるで、ずっと我慢してきた「自由」が一気に解放されたかのように。


でも、あのとき――すでに“始まって”いた

今思えば、あのとき私はすでに双極症Ⅱ型の「軽躁状態」に入っていたのかもしれない。
気分が高揚して、やたらと前向きで、外に出るのが楽しくて仕方ない。

でも、そのあとの反動は、あまりにも突然だった。

  • 朝、どうしても起きられない
  • ごはんを食べても味がしない。まるで砂を噛んでるみたい
  • 体が泥のように重く、大学に行けない
  • 外に出るのが怖くなった
  • ひとりでいるのに、なぜか苦しくてたまらない

たった数週間で、私は崩れ落ちた。


双極症Ⅱ型という病――「調子がいいときこそ危ない」

双極症Ⅱ型(そううつ病の一種)は、
「軽い躁状態(軽躁)」と「重い抑うつ状態」を繰り返す精神疾患です。

Ⅰ型のような激しい躁状態ではなく、
「ちょっとハイ」「やけに前向き」「アイデアが次々浮かぶ」といった、
一見ポジティブに見える状態が軽躁とされます。

でも――それが一番危険なんです。

なぜなら、本人も周囲も「異常」と気づかないから。
むしろ「最近調子いいね!」「元気そうじゃん!」と褒められてしまう。

そのまま無理を重ねて、心と身体が限界に達し、
一気に深い抑うつ状態に転落する。

私が大学に入って浮かれた春、
その裏で、病気は静かに進行していたのだと思う。


「順調だから大丈夫」とは限らない

病気の症状は「しんどいとき」だけ現れるとは限りません。

  • 意欲的になりすぎてスケジュールを詰めすぎる
  • 楽しすぎて、睡眠時間を削ってしまう
  • 頭が冴えすぎて、止まらなくなる

これらは一見「前向き」に見えるけれど、
私たちにとっては、「崩れる前の兆候」だったりします。


あのとき気づいていれば、もう少し違う未来があったかもしれない

「調子がいい」の裏には、無理や不調の芽が潜んでいることもある。
私たちにとって、本当に健康な状態とは、
高すぎず、低すぎず、穏やかな心の波のなかにあること。

今なら、そう思えます。


同じように悩んでいる人へ

「元気そうに見えるね」と言われてつらい人へ。
「最近やる気がありすぎる自分」に違和感を感じている人へ。

もしかしたら、それは心からの「元気」じゃないかもしれません。

私たちは、調子がいいときこそ、気をつけなければいけない病気を抱えて生きています。
どうか、あなたが一人で抱えすぎませんように。


おわりに

調子がいいとき、それが「危険信号」かもしれない。

私があの春に気づけなかったことを、
今このブログで伝えることで、誰かが自分を大切にできますように。

読んでくださって、ありがとうございました。


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